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妥協なき鬼才の思想と職人の技!田邊 克彦氏に訊いた『がま磯マスターモデルII』インプレッション

2017年11月 3日(金)

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

2007年に発売され、大ヒットを記録した銘竿『がま磯 マスターモデル 口太/尾長』から10年。
2017年秋、長い歳月を経てフルモデルチェンジを遂げて発売された『がま磯 マスターモデルII口太/尾長』。
今シーズン絶大な注目を集めるこの2機種について、がまかつのフィールドテスターで名釣会の事業本部長、がまかつファングループの四国地区本部長を務められている田邊 克彦氏に、マスターモデルで実釣を行った印象についてお話を頂きました。

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

店長 山本(以下、ヤ) :遂に出ましたね、マスターモデル2!このデザインの美しさには惚れ惚れしますね。
田邊さんから見られた、今回のマスターモデル2の第一印象はどんな感じでしょうか?

田邊 克彦氏(以下、克) :そうですね、とにかく美しく完成されたロッドですね。細部までつくり込まれていて、初めて見た時には私も思わずうっとりと見惚れてしまいました。

ヤ :もう既に振り出してみられたかとは思いますが、振り出してみての印象はいかがですか?

克) :実釣で使うのは昨日が初めてだったんですが、とにかく径が細いので驚いています。
昨日も木っ端グレが多くて厳しい釣行でしたが、35センチを1枚喰わせた時は、グレが直立不動でスーッと浮いてきました。

ヤ :使用された号数は?

克 :使用ロッドは、1号クラスに相当するマスターモデル2 口太Mの5.0mです。
道糸は1.75号で、ハリスが1.5号。鈎はファイングレの5号を使用しました。
この号数でも口太なら50cmも確実に取り込むことができると思います。

おそらくMHを購入される方が多いかと思いますが、普段釣りをするフィールドが口太メインだったら、M-5.3で充分だと思います。
私自身も尾長のMとそMHの2本を購入しようかなと思っています。

ヤ :なるほど。長さはどうされますか?

克 :そうですね、磯は5.3mで鮎が9.0m。これが自分の基本スタイルなので、今回も5.3mを視野に入れていますね。

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

ヤ :そうなんですね。
前モデルに比べて竿の径も随分細くなりましたが、この細さについてはどう思われますか?

克 :私も細いので心配になりましたが、実釣してみて分かったのが、初代マスターモデルより2~4番がしっかりとしているということ。
元側がシャキッとしているので、振り込みの際のコントロール性が抜群に良くなっています。
ホームグランドが沖ノ島なので強風は毎度のことなんですが、この細身だったらロッドの操作はかなり楽に出来ると思います。

ヤ :確かに。径が細くなれば、当然竿全体に受ける風の抵抗も減りますね。

克 :そう、そこにも驚かされたんですが、何より驚いたのがこのシャキッとした振り調子なのに、負荷が掛かれば掛かるほど元竿部までぐっと曲がりこんでくれるんです。
思い切りためることもできるし、そこから釣人がロッドを起こして、一定の角度を保ってさえいれば魚が暴れることなく、じわっと浮いてくる・・・。
私自身、細仕掛けで竿を振り出すことが多いんですが、この竿なら今まで以上に安心してやり取りを楽しめそうです。
初代マスターモデルを使ったことのあるユーザーさんなら、きっとこの違いを分かって頂けるかと思います。

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

ヤ :なるほど。他のロッドと比べても自重はそこそこあるので、その分持ち重りもするのではないかと考えてしまいますが・・・。

克 :山本さん、そこなんですよね。
がま磯の竿を握ったことのないユーザーさんには馴染みがないかもしれませんが、がま磯の竿には伝統的な設計思想があり、そのひとつがモーメントという『持ち重り指数』なんです。
これこそがま磯の真骨頂なんですが、自重のバランス設計で重心が手元に来るように設計されているため、持ち重りがしないんです。

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

ヤ :そうですね。これは昔からなんですが、最近はこの傾向が特に強く、仕舞った状態で持った時には重さを感じても、いざ振り出してみると仕舞っていた時の重さを感じさせない軽快な振り調子で釣行に望めますね。

克 :さらに言うと、この『がま磯 マスターモデルII』は、口太・尾長いずれもがその特徴を色濃く受け継がれた竿に仕上げられているように思います。
開発担当の方からもいろいろと伺ったんですが、とにかくひとつの竿が仕上がるまでの工程の多さに驚かされました。
スーパーアクティブサスデザインの継ぎ目の僅か0.0数ミリ単位でのカーボンの削り込みであったり、塗装ひとつをとってもどうしても人手が掛かる部位が多く熟練の職人さんの技術が必要です。
釣竿はある程度までクラフトマンが関わる部分があることは予想していましたが、大部分は他の工業製品のように機械を使った製造ラインに乗せるものかと思っていたのですが、その逆で、大部分が職人さんによる手作業で行われているようです。
資料も拝見しましたが、塗装だけでも340工程以上・・・トータルで想像するだけでも、相当な工程を経て製品として成り立っているのでしょうから、10万を超えるこの価格には納得せざるを得ません。

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

ヤ :これだけ、海外での生産が当たり前のようになっている時代に、すべて国内製造のメイドインジャパン。
その姿勢には開発者さんの誇りすら感じさせられますね。本当に素晴らしい。

克 :製造効率だけを追求した設計思想ではなし得ない、職人さんの息吹を感じるクラフトマンシップには惚れ惚れします。
今や、どのメーカーも海外での生産が当り前となっていますが、国内で生産する事にこだわり抜いたこの製品には、それだけでも価値があると思いますが、それだけではとどまらず、釣り人が長く愛用したくなるような工夫が細部にまで施されている。
その思想を製品へと反映することのできるがまかつは、ある意味日本社会に貢献している誇りある会社だと思います。
素晴らしい企業にテスターとして関われていることを本当に光栄に思っています。

田邊克彦氏による がま磯マスターモデル 口太/尾長 解説

ヤ :田邊さんは、フィールドテスターだけでなくGFG(がまかつファングループ)の四国地区本部長であったり、さらには高知県友釣り連盟副理事長を務められるなど、釣りの普及にご尽力されていますが、近年は釣り人口が減少傾向にありますね。

克 :少子高齢化の流れもあり、確かに釣りの世界でも若い方が減少し、特に磯釣りは年齢層が高齢になってきています。
磯釣りをはじめ、釣りそのものが昔と比べてお金が掛かる傾向が強くなってきてはいますが、グレ釣り、鮎釣りの魅力と釣り技術を伝えることは私のライフワークでもあるので、釣りはコミュニケーションのひとつでもありますから、釣り人が増えれば自ずと釣りを通じての釣り人同士の交流が増えることとなり、明日への仕事の糧になればこれほど嬉しいことはありません。
今後も、若い方たちに磯釣りの魅力を伝えていきたいと思っています。

ヤ :それは私たち、釣具店の使命でもありますね。
やはり、仕事や私生活での悩みもいざフィールドに向かって竿を振り出せば、目の前に広がる大自然との対峙に夢中になり、それで日頃のストレスからも解放され、生活にもメリハリが出てくるかと思います。
やり取りを経て、釣り上げた魚や逃してしまった魚をネタに友人たちとの話にも花が咲きますしね。
田邊さん、どうもありがとうございました。

克 :ありがとうございました。

 
田邊克彦氏プロフィール
田邊克彦氏 プロフィール画像

ホームグランドの高知県沖ノ島にはほぼ毎週通い、尾長グレを狙って釣行を重ねている。

超一流の技術と、長年の釣行経験に基づいた理論を持ち合わせており、全国的に有名な名釣会の本部運営本部長を務めるなど、後進の指導にあたるかたわら、松田会長の右腕として大活躍、内外の釣り人より絶大な支持を集めている。

鮎釣り名人としての一面も併せ持っており、四国四万十川をホームグランドとして、6月の解禁から精力的に鮎を掛けまくるなど、こちらも達人としての実力を持つ。
ライフワークとして四万十川の環境保全に力を注ぎ、各方面の講演やボランティア活動などにも積極的に参加している。

1954年生まれ 高知県四万十町香月が丘在住―サンラインやがまかつ、TALEX(タレックス)などのメーカーのフィルドテスターを務めている。

名釣会副会長、高知たつのこ会顧問、高知県友釣り連盟副理事長、四万十友釣会会長、高知親誠会会長、GFG四国地区本部長。

製品詳細:がま磯 マスターモデル2 口太
製品詳細:がま磯 マスターモデル2 尾長
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