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がま磯デニオスのテストに関わる北村憲一氏が語る― がま磯 デニオス開発秘話

2019年10月11日(金)


軽さによる不安を吹き飛ばす安心の張り―TORAYCA T1100Gaがもらたす多大なアドバンテージ

インタビュアー 山本(以下、―): このがま磯デニオスですが、いつ頃からテストが始まったのですか?

北村憲一テスター(以下、北): このデニオスのテストに入ったのはだいたい2年前の2017年だったと思いますが、テスターの猪熊さんや久保野さんが最初に1号~1.5号のテストを開始。
その後、僕のところに1.75号と2号のプロトのロッドが来て、マスターモデル2やアテンダー2も使いながらテストを重ねて微調整を行いました。

―: なるほど。尾長も想定される号数でのテストを北村さんに白羽の矢が立ったんですね。
がま磯ユーザーにとってこれは一番聞きたいところかと思いますが、このデニオスはどんなタイプの竿にあたりますか。

北: 自分の釣った感覚ですと1.75号~2号はアテンダー2に近くて、12.5~1.5号はファルシオンに近い感じのアテンダー2といった感じですね。
魚を掛けた時の曲がりや大型を喰わせた時の感覚はアテンダー2に近いと僕は思います。

ただ、穂先には最新のカーボンガイドが搭載され、穂先と中間あたりまでT-1100Gのカーボン素材が使われているので素材が薄く軽く仕上げられています。

このT-1100Gカーボンなんですが、非常に張りのある特性を持ったカーボンシートで、従来の磯竿と比べて軽くつくることができるんです。

開発担当者から「これで尾長を掛けて下さい」と言われ、デニオスを持たされ振り出してみると、アテンダー2より持ち重りがせず、軽く感じたので一瞬不安を感じたんです。

けれども、いざ実釣してみると高弾性カーボンの張りのある穂先のお陰もあり振り込みや誘いもしやすく、操作性は先調子竿並み。
さらに、そのテストロッドで50cmオ―バーの尾長を2枚釣ったんですが、しっかりと胴に乗るがま磯独自のトルクフルな粘り調子も備わっていることを実感しました。

魚が暴れず浮いてくる―スパーASDが魅せる応力伝達性能

プロトによる実釣を終え、改良点などを開発担当者に伝え、今年3月に最終テストを行ったんですが、
その場所がホームグラウンドともいえる鵜来島の水島2番の奥の奥。

ここの尾長グレは姿は見えていても、なかなか食いついてくれないためかなり手強い、学習を積んでいる尾長グレなのです。

微妙な誘いを掛けてあの手この手で喰わさないと針がかりしないんです。
しかし、デニオスはシャキッと張りのある竿先なので、何の違和感も感じずに仕掛けの操作ができました。

アテンダー2と比較しても操作性が楽なのはデニオスの利点と言えるかと思います。

普段、僕たちはアテンダー2やマスターモデル2尾長を使うんですが、この2機種は尾長グレにターゲットを絞って開発されているので、大型の尾長を取り込んで当たり前の竿。
その代わり値段も倍近くしますからね(笑

そういう意味では、安心して尾長と対峙できる竿がこの価格帯で実現できたことに正直驚いています。

この掛けた時の動画を観て頂いたら分かると思うんですが、先程の尾長グレを釣った様子が収められています。
その時も、やはり余裕で対応できていたのでご覧頂ければと思います。

それと一番驚いたのが、魚を掛けて矯めている状態でも、暴れることなくゆっくりと浮いて来るんですよ。
これがいわゆる"がま磯調子"なんですよね。

普通の竿だと、継番の応力伝達がスムーズでないので、胴が叩いたり穂先が叩いたりすることがあるんですが、せっかくグレが浮いて来ているのにその抵抗がグレのストレスになって途端に暴れだし海底に向かって突進していくんです。

そのせいで竿の角度が悪くなり、鈎が飲み込まれてなくてもハリスに傷がついたり切られる可能性も高くなるんです。

―: つまり、がま磯の竿は余計な抵抗がかからず、竿の粘りに従って魚が浮いてくる、と。

北: そうですね。
このデニオスもスーパーアクティブサスデザインのコンセプトが反映された竿なので、
限界近くまで曲がっている状態で、さらに自分がロッド持ち上げてもまだ余裕でしなってくれてグレを暴れさせずに浮かせることができるんです。



―: ズバリ、アテンダー2よりも性能が良いということは・・・?

北: いえ、これは好みの問題になってくると思います。
アテンダー2が曲がりすぎるという意見は以前から耳にすることがあって、あの曲がりに対して抵抗を感じたり、使いづらさを感じる方にはおすすめできる竿だと思います。

―: 確かに。当店でもそう感じられているユーザーは少なからずいらっしゃいます。

北: そう。それに、デニオスは全機種スクリューシートが装着されていますので安心感があります。
アテンダー2は1.75号まではスライドシートなので極限まで曲がりこんだ場合には元竿まで曲がりますのでリールシートのガタつきが気になる事もありますね。

―: アテンダー2やマスターモデル2は大物を掛けてためると、胴元までぐっすりと曲がり込みますからね。

真骨頂はここにあり!?鬼才と開発との二人三脚で2倍にも3倍にも蓄積された設計ノウハウ

北: 最近他メーカーでも胴調子の竿が増えてきていますが、がまの調子は他の胴調子とはひと味もふた味も違います。

いわゆる"がま調子"といわれる調子の系譜は、初代アテンダーから始まったんですが、これは松田稔会長が開発に携わることで完成された独自のものです。

―: アテンダーからのがまかつの快進撃は眼に見張るものがありました。

北: はい。まるでワンピースロッドのようなきれいな曲線を描くスムーズな応力伝達性能をもつ"アクティブサスデザイン"の設計理論はアテンダーシリーズをはじめ、近年のがま磯シリーズには色濃く継承されています。

松田会長が本格的にがまかつの開発に取り込むようになってからというもの・・・特にアテンダー2の開発の際には、芯金を専用で何本もつくっていましたので、開発の方も随分と苦労されたと聞いています。

駄目なら芯金からつくり直し、完成ロッドを何本も持参して、自宅で振り出して実釣に臨む竿を数本決めていく。

また継目などのアドバイスを実際に図面に起こして、開発に渡しすなど会長にしかできない、斬新で画期的なアドバイスもされています。

この芯金の資産と松田会長と開発とが練り上げたノウハウがありますので、それが磯竿だけでなくあらゆるジャンルのロッドに反映されていると思いますし、これからもがまかつのロッドはジャンルを問わず進化し続けることと思います。

このがま磯デニオスは、まだがま磯を使ったことない釣師の方にぜひ手始めに使って頂きたい。
そんな、がま磯入門竿とも呼べるロッドに仕上がっています。

北村憲一氏プロフィール
北村憲一氏 プロフィール画像 昭和46年9月10日高知県出身。
日本最大の会員数を誇る名釣会の鬼才こと松田稔会長に師事。
自身も地元高知県西部のフィールドで尾長グレを相手に日夜さらなる釣果を求めて竿を振り出す生粋の釣師。同じ釣り人からも「憲ちゃん」の相性で親しまれている。
グレ釣りだけでなく、鮎釣りにおいても全国屈指の実力を持つトップトーナメンターでもある。
有限会社関西木材建設 代表取締役社長
名釣会 会長代行兼四国地区本部長
がまかつ フィールドモニター
サンライン フィールドテスター

製品詳細:がま磯 デニオス
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