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受け継がれる磯釣りの歴史 (2)

2014年2月26日(水)

藻エビからオキアミへ、餌も時代と共に移ろう

生のオキアミをサシ餌として使用した例

生のオキアミをサシ餌として使用した例(オキアミの尻尾にはTバックOBANE使用)

撒き餌やサシ餌は、戦後間もなくから昭和40年頃にかけては、淡水に生息する藻エビが使用されていました。

しかしながらこの藻エビは数が取れず高額なため、庶民にはなかなか手が届かない・・・磯釣りは、今よりもずっと費用のかかるお金持ちのための遊びだったのです。
その後、湖産エビやサクラエビなどが藻エビに代わって使われ多少は安価にもなりましたが、徐々に取れ高が減り品薄になり、当然値段も上がることとなりました。

それら後、宮城県沖で穫れるアミエビへと撒き餌が変わったことで、撒き餌は瞬く間にお求めやすい価格となり、磯釣りをはじめとする釣り人そのものの人口が増えるきっかけとなりました。

昭和50年頃になると、南極から漁獲されたオキアミが登場。
オキアミは安いだけでなく、冷たい海中で生きるために栄養価を豊富に蓄えていたことから、魚達にとっても大好物の餌となり、釣果もグンと伸び、さらに高度経済成長の波に乗った当時の日本は景気も良く、安価なオキアミは飛ぶように売れ、サシエの主力商品となったのです。

エサが変われば生態も変わる

オキアミが世間へ流通して間もなく、栄養価の高いその餌を求めてか、青物のヒラマサやハマチが磯へと廻るようになり、それらを狙って遠投するカゴ釣りも盛んになってきたことで、魚たちは大量に撒かれたオキアミを狙って磯から離れました。

グレも例に漏れず、磯から離れてしまい釣りづらい状況がしばらく続いたのですが、青物が再び磯から離れだした頃、徐々にグレなどの磯魚が磯際に付きだしたのです。

しかし、磯に付いたそのグレたちは非常に警戒心が強く、くわえた餌に違和感を覚えるとすぐに吐き出してしまうのです。近年はその状況から、なるだけ魚に違和感を与えないよう、オキアミの色を模した釣針や水中に溶け込んで見えづらい糸などもメーカーから発売されており、さらにはより強く、より細い、相反するライン性能が求められるようにもなり、釣具メーカーの手腕が問われる時代となっています。
大型の尾長グレ(50~70cmサイズ)にもなると特に釣りづらくなってきていますが、そうは言っても海中には釣られることなく成長を続けるグレはまだまだ生息しており、夢の大物釣りが叶わなくなったというわけではありません。

また、平成に入る頃になると四国の豊後水道寄りでは、今まで釣れていた口太グレよりも肉の薄く体長が長めのグレが磯に寄るようになり、よく釣れるようになりました。
このグレは、本来は沖を回遊しているような口太グレだったようで、尾長グレと口太グレとの雑種ではないかともいわれています(根拠はまったくありませんが・・・)。

漁師の話によると、磯に寄る以前は大敷網に沢山水揚げされていたようです。 釣果としても、体長は平均して40~50cmといった良型で気持ち引きが弱くやり取りもしやすいため、グレ釣りを始めたばかりのビギナーでも釣りやすい、ステップアップとしても絶好の魚となりました。

渡船も大型のものが増え、スピードも速くなっているので、磯へ上がるのも以前と比べて格段に楽になってきています。
時代とともに、変わっていく釣具や魚の生態はこの先どうなっていくのか?
私自身、釣具店の経営者としても、一釣り人としても変わりゆくものへの不安もありますが、それ以上にタックルや技術の進歩、何より磯釣りを楽しんでくれる方が増えることを楽しみに思っています。


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